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労務のハナシ

4月1日から非正規社員の育休拡充と男性への取得促進がスタートします!

前回の「労務のハナシ」では、産休と育休の基礎知識を紹介いたしました。

日本の産休・育休制度は、世界的にみても充実したものになっています。さらに2022年4月1日以降は、非正規社員の育休適用が拡充され、男性への取得促進もスタートします。

ただし、制度が充実していても活用できなければ意味がありません。法改正をチェックして、社内で周知できるように準備しましょう。

今回は、2022年に予定されている育児休業制度の変更点のなかで、4月スタートの内容を紹介します。

①育休を取得できる対象者の拡充

育児休業の期間は原則は以下となります。
女性:出産日翌日から57日後〜お子さんが1歳になる誕生日の前日
男性:配偶者の出産予定日〜お子さんが1歳になる誕生日の前日
ところが、2022年3月以前は以下の(1)〜(3)の方は、基本的に育休を取得できませんでした。
(1)日雇いで働く方
(2)有期契約で働く方であって、勤続年数1年未満の方
(3)有期契約で働く方でお子さんが1歳半になるまでに契約が終了することが決まっている方
そのため、出産・育児を理由とした離職率は正社員が11.2%なのに対し、いわゆる「非正規社員」は62.8%にもなっていました。
育児のために一定期間仕事を休まなければならないのは、雇用形態に関係がありません。
2022年4月1日以降は、(2)が廃止されるため、勤続年数1年未満の方であっても育休を取得できるようになります。
企業側は(2)の廃止に伴い、就業規則を変更するとともに変更点を周知する必要がります。

!CheckPoint!
◆4月以降の育休制度の変更◆
・有期契約で働く人は勤続1年以上でないと取得できない←削除
・勤続1年未満の人を育休から除外する場合←労使協定を締結し、従業員に周知しなければならない
・就業規則を変更する場合←労基署への届け出に加えて、従業員に周知することが必要

◆介護休暇にも適用◆
育児休業の改正と同様に、介護休業についても改正されます。
就業規則の介護休業に関する規定も、同じタイミングで変更しましょう。

②男性の育休申し出・取得をスムーズに

育休は、正社員と非正規社員の間だけでなく、女性と男性の間にも取得率に大きな差があります。2020年の育休取得率は、女性81.6%に対して男性12.7%でした。しかも、取得期間にも大きな差があります。
2022年4月1日以降は、就業形態や性別にかかわらず育休を取得しやすくするため、企業側がやるべきことが明確に示されました。その項目が以下の3つです。
(1)育休に関する研修の実施
(2)育休に関する相談体制の整備
(3)育休に関する雇用環境の整備

(1)(2)については、具体的にはどう取り組めばよいのでしょうか。
まずは自社の課題を洗い出すことから始めることをオススメします。課題を洗い出す過程で、マタハラに発展しそうな事案も発見できるかもしれません。これをチャンスと捉え、実態をしっかり調査しましょう。
施策を検討するにあたっては、「男女・雇用形態に関係なく助け合いながら育休を取得できる環境を整える」など、会社の目標や方針を明確にしましょう。管理職を対象にした勉強会や人事評価の見直し、業務体制の整備なども大切になってきます。
大企業の事例が注目されがちですが、実際に男性の育休取得率を引き上げているのは39人〜499人規模の中小企業です。
まずは課題を洗い出すことから、自社でできることを一つずつ検討してみましょう。

(3)の「雇用環境の整備」としては、以下の2つが挙げられます。
*自社の取得事例をまとめて従業員に知らせる
*育休取得の促進に関する会社の方針を知らせる
!CheckPoint!
◆「イクメンプロジェクト」を参考に◆
男性の育休取得促進に関する会社の取り組みは、厚生労働省が実施する「イクメンプロジェクト」のホームページが参考になります。
2020年には、プロジェクトチームを作って男性の育休取得を促進した株式会社技研製作所や、トップが旗振り役となり社内イベントやガイドブックを整備した積水ハウス株式会社がグランプリを受賞しています。
イクメンプロジェクト「企業・イクボス取組事例紹介」
◆研修や制度の周知に使える資料を活用◆
育休についての研修や制度の周知に使える資料は、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、これらもうまく活用しましょう。
厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」

③従業員の意向をしっかりと確認

育休制度は内容が複雑であり、かつ、仕事や育児の状況は従業員一人ひとり異なるため、トラブルに発展してしまうことがあります。
「自分が育休を取得できることを知らずに離職してしまった」「育休取得後復帰したときに思っていた就業環境と異なる」など、会社と従業員との間でギャップが生まれてしまうことがあるのです。

以前伺ったのは、企業側は良かれと思って1年間の育休取得を前提に話を進めたら、従業員はできる限り早く職場復帰することを目指しているという事例でした。
それぞれの家庭で経済状況は異なりますし、従業員のキャリア感も異なります。
業務を調整する周囲の者にも影響することなので、「たぶんこうだろう」ではなく、会社は従業員の意向をしっかりと確認し、従業員もきちんと状況を説明しましょう。

!CheckPoint!
◆従業員に周知・意向を確認するために◆
2022年4月1日以降、妊娠や出産に関して申し出た従業員に対しては、一人ひとりに以下の4つを伝えることが必要です。
*育休制度の内容
*育休取得を申し出る場合の申し出先
*「育児休業給付」について
*育休中の社会保険料について

◆個別説明用の文例を知る◆
個別に説明するための書面例は、②と同様、厚生労働省のページを参考にしてみてください。
厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」

④企業それぞれの体力に合わせた対応を

今回紹介した②と③は、企業規模にかかわらず取り組まなければならない内容となります。つまり、1人でも従業員を雇っていれば、育休制度の変更点はチェックしなければならないのです。
ただし、実際に取り組める施策は、企業規模によって異なってくるでしょう。そのため、②に記載したとおり、他社事例を参考にしながらも、「自社の課題を洗い出すこと」「自社に適した目標や方針を掲げること」が大切になると考えます。
!CheckPoint!
◆体制の据え置きもある程度可能◆
また、会社に余力がない場合は、①に記載したように、労使協定を締結して周知すれば勤続年数1年未満の従業員を育休取得から除外することもできます。
労使協定例のWordファイルは、厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」のページからダウンロードすることが可能です。

男性やご夫婦で育休を取得しやすくする新制度は、2022年10月スタートの予定です。新制度の内容については、また別の機会に紹介させていただきます。

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