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「女性活躍」のもと101人以上の企業が取り組むべきことは?

「女性活躍」という言葉を聞くようになってから、ずいぶん経ちました。
日本の人口の超高齢化が始まり、労働人口が減ることが分かって、女性に「活躍」してもらわなければ経済水準を維持できなくなってきたからです。
女性の社会進出を一つのきっかけとして、3月で紹介した育児休業の拡充や4月に紹介したパワハラ対策義務化など、制度が整えられてきたことは事実です。
この2つの制度変更とともに、「女性活躍推進法」においても4月1日から新しい制度がスタートしています。
今回は、「女性活躍推進法」のもと、従業員101人以上の企業が取り組むべきことと特例認定制度の「プラチナえるぼし」について紹介します。

①「女性活躍」とはなんだろう

世界経済フォーラムが毎年公表する「ジェンダーギャップ指数」で、日本は2006年の80位から2021年には120位と、年々下降しています。
また、男性の賃金水準に対する女性の賃金水準の割合は、74.3%です。
一方で、世界価値観調査によると、女性の幸福度の方が男性の幸福度より高いとも言われています。
女性は誰かに「活躍しなさい」と言われずとも、働くことや結婚すること、子どもを産み育てることを自分で決めてきたわけですが、人口の減少を背景に、国としては女性に働いて子どもも産んでもらう必要があります。
こうした事情から、2015年9月、女性の職業生活における活躍を推進することなどを目的に施行された法律が「女性活躍推進法」という法律です。

②従業員101人以上の企業なら?

女性活躍推進法のもと、2022年4月1日以降は、従業員101人以上の企業が取り組むべきことが一つ増えました。
それは、「一般事業主行動計画」を策定して、都道府県労働局に届け出ることです。
一般事業主行動計画とは、たとえば「女性の管理職割合を◯年までに◯%にする」「女性の平均勤続年数を◯年までに◯%にする」などと定めたものを指します。
なお、従業員100人以下の企業では、努力義務となっています。

計画の策定と届出の大まかな流れは、以下のとおりです。

<一般事業主行動計画策定・届出の流れ>

  • 女性労働者の割合や平均勤続年数の男女差などの状況を分析する
  • 男女別の配置の状況や管理職割合などの数値目標を定めて社内周知する
  • 策定した行動計画を都道府県労働局に届け出る
  • 行動計画の内容を自社ホームページや「⼥性の活躍推進企業データベース」に公表する

一般事業主行動計画の内容は、従業員101人以上の企業と301人以上の企業で若干異なっています。
行動計画の内容や策定方法に関する詳細は、厚生労働省のホームページやパンフレットでご確認いただけます。行動計画のひな型のダウンロードも可能です。
参考:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ

!CheckPoint!
◆行動計画策定の取扱いは?◆
本コラムをご覧の方は、もしかしたら「行動計画の策定にどの程度真剣に取り組むべきか?」という疑問をお持ちになるかもしれません。
行動計画を策定しなかったからといって、今のところは罰則が適用されることはなく、企業名が公表されることもありません。
行動計画は、適当に取り組んでもすぐに問題が生じるわけではないところに難しさがあります。どの程度真剣に取り組むかについては、以下のポイントなどを参考に検討していただくとよいでしょう。

一般事業主行動計画への取り組み方のポイント
*企業の競争力向上のために女性の働き方の状況をアピールする必要があるか
*女性にとっても男性にとっても働きやすい職場環境をつくることを目指す必要があるか
*採用において、自社の魅力の一つとして女性の働き方の状況をアピールする必要があるか

③優遇・融資が受けられる「プラチナえるぼし」

同じように、パワハラについても、2022年4月1日からすべての企業で防止施一般事業主行動計画の策定に取り組むときは、えるぼし制度についてもぜひ知っておいてください。「えるぼし」とは、女性の活躍推進において優良と判断された企業を認定する制度です。2020年6月1日から、通常の「えるぼし」よりも水準の高い「プラチナえるぼし」制度がスタートしています。
えるぼし認定を受けた企業が以下4つの基準を満たした場合、「プラチナえるぼし」に認定されるという流れになります。

<プラチナえるぼしの認定基準>
• 一般事業主⾏動計画に定めた目標を達成した
• 毎年「⼥性の活躍推進企業データベース」に男⼥雇用会機会均等推進者・職業家庭両⽴推進者の選任状況を公表している
施策実績の5つの基準を満たして毎年「⼥性の活躍推進企業データベース」に公表している
情報公表項目のうち8項目を、毎年「⼥性の活躍推進企業データベース」に公表している

施策実績の5つの基準については、採用・継続就業・労働時間等の働き方・管理職比率・多様なキャリアコースの5つについて、それぞれ基準が設けられています。

情報公表項目は、以下の項目です。
<⼥性労働者に対する職業⽣活に関する機会の提供について>
• 採用した労働者に占める⼥性労働者の割合
• 男⼥別の採用における競争倍率
• 労働者に占める⼥性労働者の割合
• 係⻑級にある者に占める⼥性労働者の割合
• 管理職に占める⼥性労働者の割合
• 役員に占める⼥性の割合
• 男⼥別の職種または雇用形態の転換実績
• 男⼥別の再雇用または中途採用の実績
<職業⽣活と家庭⽣活との両⽴に資する雇用環境の整備について>
• 男⼥の平均継続勤務年数の差異
• 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男⼥別の継続雇用割合
• 男⼥別の育児休業取得率
• 労働者の1ヶ月当たりの平均残業時間
• 有給休暇取得率

認定基準の詳細については、厚生労働省のパンフレットをご参照ください。
参考:厚生労働省「えるぼし認定・プラチナえるぼし認定のご案内

!CheckPoint!
◆プラチナえるぼしを取得するメリットは?◆
• プラチナえるぼしマークを広報等に使える
• 公共調達で加点される可能性がある
• ⽇本政策⾦融公庫の融資制度を低金利で利用できる
• 一般事業主⾏動計画の策定・届出が免除される

④具体的な取り組み例

具体的に、プラチナえるぼしに認定されている企業ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。
たとえば、東京都にある株式会社矢野経済研究所(企業規模101〜300名)では、労働者に占める女性労働者の割合が約44.4%であるものの、管理職に占める女性労働者の割合は17.6%と低くなっていました。この課題を解決するため、就労に関する社内アンケートを実施して男女の管理職昇進意識の違いなどを分析したり、ストレスチェックをもとに女性が働きやすい部署のモデルケースを検討したりしてきました。結果として、直近の事業年度の管理職に占める女性労働者の割合は27.6%まで上昇しています。

ニワトリが先かタマゴが先かは分かりませんが、女性管理職の割合が高い企業は生産性が高いというデータもあります。一般事業主行動計画の策定に取り組むことが、ひいてはSDGsの「ジェンダー平等」や「働きがい・経済成長」の実現につながる可能性もあるでしょう。

一般事業主行動計画は、策定・届け出しなくとも罰則はなく、形式的に取り組むことができるものです。しかしながら、企業の競争力や社会的評価の向上などのため、「一般事業主行動計画への取り組みのポイント」を参考に、取り組み方について検討してみることをオススメします。

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