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年末の社内イベントと社内規定

12月といえば、忘年会や大掃除を実施する会社も多いのではないでしょうか。この時期にはよく、「忘年会に従業員全員を参加させることはできますか?」「職場の大掃除には参加しなければならないのでしょうか?」といったご相談を受けます。

忘年会も大掃除も、個人の価値観や好みが分かれるイベントです。

「忘年会はやって当たり前!」という方がいれば、「気を遣うから参加したくない」という方も。「掃除は女性の方が得意だよね」という考え方もあれば、「各自で掃除をするべきだ」という考え方もあるでしょう。

忘年会や大掃除などの社内イベントの取り扱いは、参加が強制なのか、社内規定にどう定められているかによって変わります。イベントの性質や社内規定に照らし合わせて、検討してみてください。

①参加強制イベントは「労働時間」

社内イベントへの参加が強制であるときは、その時間は「労働時間」にあたります。
「労働時間」に対しては、社内規定に基づいてお給料が支払われることが原則です。

たとえば、その社内イベントが就業時間内に行われるのであれば、お給料を控除することはありません。実際のお給料額や、社内規定の「賃金控除」の項目などを確認してみましょう。賃金控除の項目には、欠勤や早退したときには賃金を控除することや、控除額の計算方法などが書かれています。

社内イベントが就業時間外に行われるのであれば、社内規定に基づいて割増賃金が支払われます。その月のお給料額や、社内規定の「割増賃金」「時間外手当」「休日手当」などをチェックしてみましょう。割増賃金の単価や割増率、どの時間に対して時間外手当や休日手当が支払われるかなどが書かれていると思います。

!CheckPoint!
◆社内イベントの催行時間は?→□就業時間内 □時間外
◆参加条件は?→□強制参加 □自由参加
◆社内規定の労働時間(始業・終業時刻、休日など)や割増賃金はどのように定められているか?

②忘年会の扱い方は?

①の原則を踏まえると、忘年会への参加についてはどう取り扱われるのでしょうか。
忘年会への参加が強制なら、①の原則通り、その時間にはお給料が支払われることになります(実際に支払うか、あるいは「お金をください」と請求するのかはともかく…)。

会社側は、お給料を支払わないのであれば自由参加にしなければなりません。また、参加費を集めるときも、「あくまで自由参加であって、有志の開催ですよ」と伝える必要があります。もちろん、参加費をお給料から控除することもできません。
従業員の方も、お給料が支払われないのであれば強制参加ではないので、「参加しません」と断っても問題ないのです。

!CheckPoint!
◆従業員は忘年会に…?→
□自由参加(有志による自費参加と周知)
□強制参加(労働時間として賃金が発生)
◆自由参加の忘年会は…?→
□参加費は給料から控除されない
□参加を断ることができる
◆飲みニケーションへのスタンス◆
忘年会などの「飲みニケーション」については、世代や性格、家庭の状況、個人の嗜好などによって考え方が異なるでしょう。積極的に参加してコミュニケーションを取りたいと思う方もいれば、アルコールの場や大勢の人が参加するイベントは苦手なので参加したくないという方もいらっしゃると思います。

主催する側は、どのような会社の風土を作りたいのか、従業員をどういったかたちで交流させたいのかを踏まえて、忘年会のスタイルを考えてみてください。「従業員を労うつもりで土曜日に納会を開催していたが、お給料の支払いが原則ならば今後の開催については再度検討してみる」とおっしゃっていた方もいました。

参加する側は、仕事と私生活とのバランスや、上司や同僚とどういったコミュニケーションを取っていくのかを考えて、参加を検討するとよいでしょう。業務命令(強制参加)でなければ参加を断ることは可能なのです。

③ジェンダーバイアスに要注意

大掃除や納会への参加についてはどうでしょうか。

強制参加かどうかやお給料が支払われるかについては、①の原則や②の忘年会への参加と、考え方は同じです。

ただ、「掃除は女性の方が得意だから女性に任せるよ!」「お酌や配膳は女性の役目」と考えることは問題です。このような男女の役割について固定的な観念を持つことを「ジェンダーバイアス」といいます。ジェンダーバイアスは、男女差別やセクハラ・パワハラ問題を引き起こす可能性がある考え方です。

明確な理由もなく掃除を女性だけに行わせていると、法令や社内規定に違反してしまう可能性があります。社内規定については、服務規律に「性的言動を行うことや性的言動によって就業環境を害すること(セクハラ)」「優越的な関係を背景に行われる業務に関係のない言動(パワハラ)」を禁止する旨、懲戒規定に「セクハラやパワハラを行った場合には懲戒処分をすることがある」といったルールが書かれているかを確認してみましょう。

また、大掃除に参加する側も、理由なく女性だけが掃除を担当しているといった状況なら、参加を断っても構いません。必要に応じて、掃除の担当者や大掃除の仕方について話し合いの場を設けるよう働きかけてもよいでしょう。

!CheckPoint!
◆業務時間外の大掃除→
□賃金が発生
□賃金が発生しないのなら参加しなくてもよい
◆ジェンダーバイアスの可能性→
□女性の仕事という先入観で担当を割り振っていないか
□セクハラ・パワハラの内規に違反していないか
◆女性従業員の選択→
□合理的な理由がない担当制は断ってもよい
□特定の部署や新人といった立場で担当を振られた場合は断ってもよい

④社内規定ってなに?

忘年会や大掃除といった社内イベントの取り扱いにも、「就業時間」「賃金規定」「服務規律」「懲戒規定」などの社内規定が関わってくることを紹介いたしました。
以下内規(社内規定)の条項について説明します。

【就業時間】
「労働時間」の項目に記載されており、始業・終業時刻や休憩、休日などのルールを定めています。
【賃金規定】
どんなときに賃金が控除されるのか(欠勤や早退など)、控除するときはどう計算するか、時間外の就労についてはどのように時間外手当・休日手当などを支払うかについて記載します。
【服務規律】
会社の従業員としてあるべき姿や企業秩序を維持するために禁止する事柄などを列挙します。会社の風土や目指すべき方向性など、比較的自由に記載できる項目です。
【懲戒規定】
どのような場合に、正式な罰としての懲戒処分を与えるのか、懲戒処分の内容にはどのようなものがあるかなどを定めます。懲戒処分をするには、必ず事前に社内規定を整備しておかなければなりません。

もし、これらのルールが社内規定にきちんと記載されていなくても、後から変更したり書き加えたりすることができます。
ただし、他の項目との整合性が取れているかどうか、現在の労働条件を下げることにはならないかなどに気を配る必要がありますので、ご注意ください。また、変更したり書き加えたりした場合には、必ず社内規定を労働基準監督署に届け出て、社内で周知するようにしましょう。

社内規定を整備する方法には、本やセミナーに参加して、雛形を参考に作成・変更していく方法があります。社労士は社内規定の整備を専門にしておりますので、「どのように記載すればよいのか?」「どのような流れで変更するべきか?」など、お困りの方はいつでもご相談ください。

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