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産業医 関谷 剛 メッセージ

災害時の衛生管理、最新事情!

統括産業医の関谷です。

2022年3月16日夜に福島県沖で最大震度6強の地震が発生し、その後も東北地方や関東でも身体に感じる地震が続いています。また、3月23日には東京電力・東北電力管内で、経済産業省により初めて電力需要ひっ迫警報が発令されました。福島県沖での地震による被害で火力発電所が停止したことで発電量が少なくなったのが要因ですが、今後も災害時やその数カ月間の期間に停電が発生することは想定されると考えるようにしないといけない社会状況となっています。

災害は地震だけでは無く、近年は地球環境の変化が原因と思われる強風を伴う大型台風や、局地的な豪雨災害も日本各地で発生しています。災害による被害も長期化する傾向もあり、事業所内での非常用の食料品の備えや、従業員の避難や健康を考えながらビジネスを続けて行くための災害時対策も、年々アップデートしていかないといけません。

今回の地震や電力需要ひっ迫警報の発令を受けて、日本は地震が多く起こる災害大国であることを改めて認識し、戦争や事故を含め、常に災害に備える必要があることは日常生活の一部であり、ぜひこの機会に災害時の衛生管理について考えてみて下さい。

1:事業所内での事前の備え

企業における災害対策の一貫として、事前の備えを整えておきましょう。非常用の食料品を蓄えておくだけで、安心していてはいけません。災害が起きても、起きるという前提で多角的に備えておくだけで、被害を最小限に抑え、近隣の事業所や地域との連携によって二次被害を少なくすることが出来ます。

【1】事業所内外の安全化
事業所内の安全化では、災害が起きる前の準備として下記の様な対策を講じることを勧めています。

地盤の調査、事業所の建物の耐震診断をして危険箇所を点検し、建物を倒壊から防ぎましょう。
お客様や従業員等がケガをしないよう、社内外のガラス、壁、看板、塀などの安全化を進めましょう。
廊下や非常用階段の障害物を除去するなど、避難通路の確保に努めましょう。
書類棚の転倒は社員等のパニックを誘います。事務機器、OA機器の転倒防止対策を進めましょう。
薬品等の危険物管理や転倒防止、生産設備の防護対策を進めましょう。
エレベーターなどの耐震対策と万が一の場合の救出対策をしましょう。
コンピューターなど高度情報機器類の安全対策をしましょう。

【2】非常用物品・防災資器材等の準備
災害時に初期消火活動や救出救護活動を行うためには、必要な器材を準備し、保管場所を定めて、いつでも使用できるようにしておく必要があります。また、停電や断水等に備えて、非常用照明器具や発動発電機、飲料水や食料(1人3日分を目安)を準備しておきましょう。

【3】防災訓練の実施
災害発生時に、従業員が混乱することなく、組織だって最適な行動をとれるよう、日頃から実践的な防災訓練を行い、「従業員一人ひとりが何をするべきか」役 割を決めて、とるべき行動を体で覚えておくことが必要です。防災訓練は、防災意識を持たせ、持続させるために、年間に数回実施しましょう。

【4】地域との協力関係
事業所は、地域の強力な構成員です。火災の拡大防止や負傷者の救出・救護など、被害地域に対する貢献策を検討しておきましょう。また、いざという時のために地域の住民組織(町会)や自主防災組織などの訓練に職場単位で積極的に参加するなど、日頃から地域との結びつきを深めておきましょう。

2:災害時における避難所での感染症対策

災害時には断水により手指の流水洗浄ができず、避難所など密集した環境下での集団生活等により、ノロウイルス等による感染性胃腸炎やインフルエンザなどの感染が拡大するリスクが高まります。飛沫感染や空気感染による感染拡大する恐れがあるため、感染症に「自分がかからない」ように手洗いを、かかっても「他人にうつさない」ために咳エチケットなどを行いましょう。

◆手洗いでの感染症予防
流水で手洗いができない場合には、アルコールを含んだ手指消毒薬を使用しましょう。やむを得ずバケツなどにくみ置きした水を使う場合は、直接バケツの中で手を洗わないように注意しましょう。とくに食事前や調理前、トイレ使用後には手洗いを。

◆咳エチケットで感染症予防
咳やくしゃみが出たときに周りの人へ病気をうつさないためのマナーが、咳エチケットです。避難所でマスクがない場合には、咳やくしゃみの際はティッシュで口と鼻をおおいましょう。ティッシュ等がない場合には、二の腕で口と鼻を覆いましょう。

◆避難所内のトイレの衛生管理
トイレで汚染された履き物を介して感染がひろがるおそれがあるため、土足厳禁を徹底しましょう。トイレから手洗い場までの距離が離れていると手洗いが徹底されないことがありますから、なるべく近くに設置しましょう。

3:災害時の食中毒予防

災害時は、ライフライン(水道、ガス、電気)の寸断により、食材の温度管理が困難になるなど食中毒が発生しやすい状況となります。また、避難所に避難される場合には、高齢者や乳幼児を含め、多くの方が集団で近接して生活する状況になるため、食中毒や感染症が発生した場合には大規模化・重症化するおそれがあります。

<↓調理や配付、食事の前には、よく手を洗いましょう>
水が十分に確保できない場合には、ウェットティッシュ等を活用

<調理をおこなう際、食材を火や熱湯で十分に加熱しましょう>

<下痢、発熱、手指に傷がある方は、食品の調理や配付を行わないようにしましょう>

<調理を行う台所や食器などを、可能な限り清潔に保つようにしましょう>

<↓避難所などでは、出された食事はできるだけ早く食べるようにしましょう>
時間が経過した場合は、思い切って廃棄

4:災害時の衛生管理で参考になるサイト

東京都の事業者向け防災サイト

東京都では気象庁の気象警報や台風情報等とも連携した東京都防災ホームページを開設しており、その中の「帰宅困難者対策」の項目に「事業者向け」ページを設けています。事業所における帰宅困難者対策ガイドラインや駅前滞留者対策ガイドラインなども見られるようになっていますから、ぜひ事業所でも一読下さい。

厚労省の災害発生時における新型コロナウイルス感染対策

今の時代、災害時でもコロナ感染予防を念頭に置いた対策は欠かせません。厚生労働省では「災害発生時における新型コロナウイルス感染対策」について2020年7月に「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応に関するQ&A(第2版)」をまとめ、サイトからダウンロード出来る様にしています。自宅療養者等の避難の検討や、避難者の健康状態の確認、避難所での衛生環境の確保について留意事項が記載されています。

あとがき

事業所内での非常用品の備えでも、これからはコロナ感染対策用のマスクや消毒液なども備品に加えるようにして、災害時の事業所内で感染が広がらないような対策も産業医を交えてシュミュレーションしてください。

統括産業医 関谷剛

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