パワハラ防止(病気のレッテルを貼らない!)
最近、いくつかの会社で問題になった例を出したいとおもいます。
(結果的に大ごとにはなりませんでした)
例1) 上司が「お前はうつ病かもしれないから病院に行け」というのと同時に
周囲に「彼はうつ病かもしれない」と言っていた。
例2) 以前、メンタル疾患にかかった社員がいて、最近、元気がないので
「うつ病の再発かもしれないから、もうその仕事はやらなくて良い」と言った。
例1、2の両方が少しこじれた問題になりました。社員側の気持ちになって見ましょう。
ここで必要なのは想像力です。自分がやられて嫌なことは他人にやらない!は基本です。
両方とも刑事的にも民事的にもおそらく大きな問題にはなりませんが、
職場でギクシャクするのは否めません。「うつ病」と決めつけている訳では
ないからいいんだ。というのは古い考え方です。
最近の厚労省の言葉の中にも「合理的配慮」という言葉が出てきます。
合理的な解釈ができるようにすべきです。
どういうことかというと。
「病院に行け!」というべき合理的な理由があるのかどうかです。
ちょっと元気がないだけなのに、うつ病のレッテルを貼って病院へというのは
やややりすぎの感があります。専門家出ないのに再発というのも問題です。
せめて「調子が悪そうだから、病院に行った方がいい」ぐらいにしておいた方が
いいでしょう。
強制的に産業医面談や病院へ行け!と合理的に言えるレベルはどのくらいでしょうか?
私の考えでは、就業規則違反をするレベル、すなわち訓告、戒告レベル以上
すなわち文章で注意を促さなければ行けないぐらいのレベルがわかりやすいとおもいます。
例えば、
1週間に2回以上、月に4回以上 遅刻や欠勤や早退を繰り返す。
一回の離席で30分以上戻ってこないことを2回以上
離席頻度は1日10回以上を数日
周囲に迷惑をかけるほど独り言が多い(遠くから録音できるレベル)
傾眠傾向でなかなか起こしても起きない
外線電話を取ることができない
挨拶を拒否する。
朝酒臭く、アルコールでのチェックを拒否する
ただこういうことがあっても、まずやらなければ行けないことは
教育・指導です。
(意外にも多くのケースで教育指導のみで治ることがあります)
次に、それらの証拠、指導内容を元に本人に
訓告・戒告です。
(不真面目な社員の場合、これで勤務態度が変わることがあります)
次にさらに証拠を集めて(教育指導し、なんども注意したけれど治らなかった証拠)
産業医面談です。
次に産業医から主治医に診療情報提供書(社員さんの異常行動をふして)
医療機関受診を進める
次に医療機関からの診断書
次に就業上の配慮です。
ここまでやれば、会社的にはきちんと合理的な配慮をしていたと
言えるとおもいます。大事なのは労務管理です。
きちんとした勤怠管理(特に時間管理)は必須だとおもいます。
産業医 関谷 剛 拝