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令和5年の働き方とは?新たなワークライフバランス

コラムをご覧の皆さま、1年間お疲れさまでした。年末はこの1年間を振り返るもよし、新しい年に向けて目標を立てるもよしですね。
最近は新型コロナウイルスの流行による習慣の変化や円安による物価の上昇など、働き方や生活の仕方が大きく変わる出来事が起きています。
一方で、感染症対策への不安が少しずつ落ち着いてきたり、副業が解禁されて自由な働き方が模索されたりしています。
来たる令和5年は一体どのような年になるのでしょうか。
そこで今回は、労務管理に関するキーワードをピックアップしながら来年の新たなワークライフバランスについて考えてみたいと思います。

①職場における「管理」と「自律」

現代の労務管理は、基本的に労働基準法に則って行われています。労働基準法がつくられた趣旨は、使用者による専制支配の抑制と労働者の保護にありました。
労働時間に関するルールを中心に何度か改正され、平成31年4月には時間外労働の上限規制もスタートしました(中小企業は令和2年4月から)。
労働基準法は使用者と労働者を対等の立場に置くことを目的の一つとしているものの、「労務管理」という言葉が一般的なように使用者は労働者を管理する(管理して保護する)という関係にあります。
とはいえ、労働基準法が最初に公布されたのは昭和22年。上記のように何度もアップデートされてきたとはいえ、リアルタイムで社会状況を反映していくことは難しいといえるでしょう。
そんな中、企業の現場における今後の「労務管理」にはどのような新たな可能性が見出せるでしょうか。キーワードとしては、「自律」が挙げられると思います。
従業員に「経営者目線でモノを考えろ」と言っても無理なように、指揮命令による業務遂行と自律とは矛盾しているのかもしれません。
しかしながら、今後はコロナ禍で育った若者が社会に進出してきます。彼らはオフラインよりもオンラインで人々と交流した経験の方が多い可能性も考えられます。
コロナ流行直後ほどではないにしても、リモートワークが完全になくなることはないでしょう。このような変化の後は、従業員を管理する一方で自律的な就労姿勢を促すことも、大切になっていくのではないでしょうか。

【キャリア・コンサルティングでより自律的な就業形態を】
従業員に自律を促す方法の一つとしては、キャリアコンサルタントの活用が挙げられます。職業能力開発促進法においても、会社にはキャリアコンサルティングの機会を確保することやキャリアコンサルタントを有効に活用するようことが求められています。
また、従業員が個人でキャリアを振り返ったりキャリアアップを考えたりする際には「ジョブ・カード」の利用がおすすめです。アカウント登録するとご自身のキャリアを長期的に分析することができますよ。
キャリアコンサルティングやジョブ・カードについて詳しく知りたい方は、以下のURLも参照してください。
参考:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
厚生労働省「ジョブ・カード制度」

②クラウドツールの活用はマスト

リモートワークが定着した世の中では、従業員全員が一つの場所に集まって働くことが当たり前ではなくなりました。こうした状況の中、「クラウドツール」の活用はマストだと考えます。

【人事労務に役立つクラウドツールの一例】
給与計算:「マネーフォワード」「給与奉行クラウド」
勤怠管理:「KING OF TIME」「ジョブカン」
労働保険・社会保険手続き:「オフィスステーション」「SmartHR」
マニュアル・ナレッジ管理:「Teachme Biz」「toaster team」
コミュニケーション:「Slack」「Chatwork」「LINE WORKS」

特にリモートワークをする従業員がいる会社さまでは、労働時間を把握するために勤怠管理のクラウドツール導入は必須なのではないでしょうか。
多くのツールには無料トライアル期間が設けられています。YouTubeなどでもたくさんの情報が発信されています。動画による情報もヒントにしながらぜひ一度クラウドツールを試してみてくださいね。

<リモートワーク時代の勤怠管理>
新型コロナウイルス流行直後には「いかに管理(監視)するか」が重要だったかもしれませんが、これからは「自律」もキーワードになります。
マウスの動きを感知する機能を利用したりパソコンのカメラを常時オンにしたりして働いているか働いていないかをチェックする方法もありますが、あまり一般的ではありません。
管理される側の従業員も、常に監視されていてトイレなどやむを得ない離席もいちいち報告しなければならない雰囲気になり、窮屈に感じるケースが多いようです。
実際、631社に行ったアンケート調査によると、リモートワーク時の労働時間の把握方法は、「勤怠管理システム等への入力」が89.3%と最多となっています(参考「令和3年11月26日発行『労政時報』」)。
感染症対策も落ち着いてきていることから、従業員が自律的に働けるかどうか、一定の成果を出しているかどうかなどを基準に、厳しすぎない管理のもとでリモートワークを承認する企業が増えていくと考えます。
労働時間の把握には勤怠管理システムにより始業・終業を打刻させ、コミュニケーションにはチャットツールを使い、その日に従事した業務や成果を報告させることが一般的な対応になるでしょう。

③就労制度に対する固定観念を見直してみよう

会社の魅力を高め、採用力を向上させるには、固定観念にとらわれずに働き方を見直すことも必要になるのではないでしょうか。
令和5年以降は、1日8時間週5日、同じ場所で働き続けることがむしろ珍しくなるかもしれません。
働き方改革関連法が公布されたのは平成30年7月。以降順次施行されていますが、より先の未来を見据えて、就労制度に対する固定観念を見直す際には、以下の5つがキーワードになると考えます。

  • リモートワーク
  • 転勤制度の見直し
  • 選択的週休3日制度
  • 勤務時間インターバル
  • 本社移転
  • ワーケーション

リモートワークについては、既述のとおり勤怠管理システムを活用し、場合によっては対象者を絞ることも一つの方法です。
転勤制度に関しては、「転勤命令には応じて当たり前」という考え方を見直すことも必要でしょう。
選択的週休3日制とは、希望する労働者に対して週3日の休日を付与する制度のことです。この制度について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
勤務間インターバルは、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を設けること。従業員の睡眠時間や生活時間を確保するための制度です。
また、思い切って本社を都心から郊外に移転する会社も増加しています(参考「2022年4月22日 NHK政治マガジン『企業の“脱首都圏”』)。

【その他のユニークな就労制度】
ワーケーション:旅行先や帰省先などで休暇を兼ねてリモートワークを行うことです。長期休暇がとりやすくなることや有給休暇取得の心理的なハードルを下げるなどのメリットがあります。
パラレルワーク・副業:本業を複数持つパラレルワークや副業も一般的になってきました。
30日間連続休暇:休暇や留学など用途は自由。勤続年数や引継ぎなどの条件がつく場合もあります。
1日6時間労働:休憩なしで9時〜15時勤務する体制。子育てなどと両立しやすく、よりよいワークライフバランスを構築する基礎となります。
シエスタ制度:15〜20分のお昼寝時間を導入。目的は午後の業務でパフォーマンスレベルを保つことです。
部署異動を自由に希望できる制度:ある程度の成果を出していれば部署異動を自由に希望できる制度。将来的なキャリアコンサルティングに備え、多面的な業務スキルを得られるというメリットがあります。                     参考:はたらくビビビット「こんな働き方あり!?ユニークな制度を取り入れているクリエイティブ企業リスト」

 

こうした会社独自の制度をつくることは、現在働いている従業員だけでなく、考え方や感性が合う応募者を集めるためにも有効です。
一度制度を導入したら絶対に続けなければならないわけではありませんので、まずは一定期間試してみて従業員から意見を集めるのもよいでしょう。
多様な価値観から発想される働き方のバリエーションを、前向きに検討していける社風を目指すことが、未来の「働き方」創出するきっかけとなるかもしれませんね。

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